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2018年12月に省エネルギー基準義務化の「延期」について報道がなされました。

これまで、2020年には省エネ基準義務化との方向性で進んできましたが、対応できる事業者が少ないことなどを理由に挙げ、「省エネルギー基準義務化の延期」の方向性で話が進んでいます。

 

そもそも「省エネルギー基準」ってどんな内容だったのか?今注目されている「ZEH基準」ってどんなものなのか?

分かりやすいようにまとめてみました。

 

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平成28年省エネルギー基準の詳細

日本の住宅に関する省エネルギー基準は、昭和55年から始まり現在に至っています。

 

  • 昭和55年・旧省エネルギー基準
  • 平成4年・新省エネルギー基準
  • 平成11年・次世代省エネルギー基準
  • 平成25年・改正省エネルギー基準
  • 平成28年・省エネルギー基準(H25一部見直し)

 

2018年現在(平成30年)運用されている基準は、平成28年の省エネルギー基準で、平成25年に改正された省エネ基準の一部変更版となり、基本的な数値は変わっていません。

平成25年以降「省エネルギー基準」は8つの地域区分に変更

住宅の「省エネルギー基準」は、日本を8等分した地域に分け、それぞれの地域ごとに住宅の断熱性能等を定めたものです。

8等分に分けた地域は、日本地図で示すと下記のようになっています。

あなたが建築する地域は、どこに位置するのかを確認し、それに合った断熱仕様の住宅を建設することが適当とされます。

 

ここでは簡易的に、都道府県別に表記されていますが、地図を見ると分かるように、同じ県だとしても、東西南北住む地域では温暖差があり、地域区分が変わることがあります。(細かくは、市町村別に地域区分を定めています。)

絵では見ずらい部分がありますので、文字おこしすると下記表のようになります。

 

【省エネルギー基準:地域別断熱性能UA値】

省エネルギー基準 1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域 8地域
参考地域 旭川 札幌 盛岡 仙台 つくば 東京 鹿児島 沖縄
H28省エネ基準 0.46 0.56 0.75 0.87

 

【省エネルギー基準:地域区分都道府県別】

地域区分 都道府県名
1・2 北海道
青森、秋田、岩手
宮城、山形、福島、栃木、長野、新潟
5・6 茨城、群馬、山梨、富山、石川、福井岐阜、滋賀、埼玉、千葉、東京、神奈川

静岡、愛知、三重、京都、大阪

和歌山、兵庫、奈良、岡山、広島

山口、島根、鳥取、香川、愛知、徳島

高知、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本

宮崎、鹿児島
沖縄

 

例えば、日本の首都がある東京を含む関東で見ると、その多くが5、6地域となり、平成28年の省エネ基準でいうと、断熱性能(UA値)=0.87が基準となります。

筑波山のある茨城県では、一部4地域となる寒冷地に近いエリアも存在しているのが分かります。

多くのハウスメーカーや工務店等は、この基準を参考に、その地域地域に合った断熱性能を担保するように設計し建築をしています。

 

しかし、2018年現在この基準を守らなくてはいけない法律は存在せず、努力目標にとどまっています。

数年前から2020年に省エネ基準が義務化されると、国も発表してきましたが、延期の方向性を示しています。

詳しくは、国土交通省は2020年省エネルギー基準適合義務化「延期」の方針を示した【2018.12.6住宅産業新聞】をご覧ください。

 

平成28年省エネルギー基準よりも高い基準「ZEH」

国は、より快適で省エネルギーな住宅の建築を推し進めるべく、平成28年の省エネルギー基準よりも高い次元の「ZEH」(ゼッチ)を推進しています。

 

ZEHとは(経済産業省引用)

ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

引用:資源エネルギー庁より

 

じょし

なんか難しいね。

あお

省エネルギー基準と比較すると分かりやすいかな。

ZEHは、先ほど紹介した省エネルギー基準と、地域区分はおなじなのですが、簡単に言うと「断熱性能UA値」が少し高くなります。

つまり、省エネルギー性が上がり、光熱費がかかりにくく、快適性が上がる住宅になるということです。

省エネルギー基準とZEH基準比較表

断熱基準 基準単位 地域区分
省エネ基準 UA値 0.46 0.56 0.75 0.87
ZEH基準 UA値 0.4 0.5 0.6

表を見るとわかりますが、省エネ基準よりも、ZEH基準のほうが、数値が小さくなっています。

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これは、断熱性能が高いことを示しますので、より冷暖房費がかかりにくいことを表します。長く住む住宅で、光熱費がかかりにくくなるのは、とても経済的です。

 

しかし断熱性能が高くなることは良いのですが、その代わり、高性能断熱材を使用しなければならないなど、予算も膨らむ傾向にあります。

 

国は、省エネルギー性の高い住宅の普及を推進しているので、このZEH基準の住宅を建築する人には、ZEH支援事業として「補助金」を出しています。(国土交通省・環境省・経済産業省の3省連携事業)

ZEH基準住宅には「補助金」交付

平成30年度の「ZEH」支援事業(補助金)は受付を終了していますが、審査を通過した場合は70万円の補助金が交付されています。(予算により内容が変わります)

ZEH支援事業(補助金)は、公募により一般社団法人環境共創イニシアチブ、通称「Sii」(シー)が執り行っています。

補助金の状況に関しては、「Sii」(シー)のホームページ上で確認ができます。

 

ZEH基準よりも高い住宅性能が標準になる時代はすぐそこに

国は、ストック住宅も含め省エネルギー基準を満たす住宅の普及を目指しています。

そのため、平成28年の省エネルギー基準は、最低限確保するラインと思っておく必要があります。

省エネルギー基準が、年々上昇してきているので、数年後には新たな基準が制定され、義務化されるようになるでしょう。

その目安となるのが、ZEH基準と、そのさらに上になる「HEAT20」という団体が推奨する省エネ基準です。

【HEAT20】が推奨する省エネ基準

断熱基準

基準単位 地域区分
平成28年基準 Ua値 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
Q値 1.6 1.6 1.9 2.4 2.7 2.7 2.7
ZEH基準 Ua値  0.4 0.5   0.6
HEAT20 G1 最終 Ua値 0.34 0.34 0.38 0.46 0.48 0.56 0.56  ー
Q値 1.3 1.3 1.4 1.6 1.6 1.9 1.9
HEAT20 G2 最終 Ua値 0.28 0.28 0.28 0.34 0.34 0.46 0.46
Q値 1.15 1.15 1.15 1.3 1.3 1.6 1.6
地域 旭川 札幌 盛岡 仙台 つくば 東京 鹿児島 沖縄

■HEAT20 

HEAT20とは、長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱などの建築的対応技術に着目し、住宅の熱的シェルターの高性能化と住居者の健康持と快適性向上のための先進的技術開発、評価手法、そして断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体の呼称です。

まとめ

省エネルギー基準の義務化が延期されるのは残念ですが、少しづつ日本全体の住宅は、省エネルギー化されてきています。

今現在建築されている住宅が、時代遅れと呼ばれと呼ばれないように、今できる省エネ化を施し、快適で光熱費がかかりにくい住宅を建築していくのがベストでしょう。

もし、基準を満たしていない住宅を手にしてしまった場合、売却するときなどに買い手がつかない、断熱改修工事分価格を値切られるなどの危険もあります。

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