住宅ローンを検討する際に、一度は見聞きしたことがある『フラット35』という商品。
最近では、テレビCMでも家族の日常を描いた温かみのある内容で流れていますね。
どこがやっていて、どんな商品なのか、またどうやって申し込むのか皆様ご存知でしょうか。
メリットやデメリットも含めお話していきます。
フラット35はどこが運営?
運営主体は住宅金融支援機構という、資本金を全額政府が出資する独立行政法人で
国土交通省住宅局と財務省となります。(旧住宅金融公庫)
簡単に言うと、国がやっている事業という事ですね。
国がやっている事業なので、国民の生活を豊かにする、助ける住宅ローンを商品としています。
しかし、住宅ローンは直接住宅支援機構が受けるわけではありません。
フラット35という商品を民間金融機関やモーゲージバンク・株式会社・ノンバンクが取り次ぎます。
取り次いだ機関により、金利が違います。商品自体は全く同じですが、個々に設定ができる仕組みとなっています。
○○銀行は1.2% だったけど 株式会社○○のフラットは1.1%だった。ということがありえます。
また、手数料も同じくそれぞれが設定しています。
比べるときは、手数料等かかる費用総額で比較するといいでしょう。
フラット35はどんな商品?
フラット35はその名の通り、金利が固定された最長35年のローンです。
総称して『フラット35』と呼んでいますが、いくつかの商品が存在します。
【フラット35:4つのメリット】
- ずっと固定金利・・・変動金利と違い申し込み時に支払額が全て決まるので安心
- 質の高い住宅は金利を引き下げ・・・当初10年間0.25%金利優遇措置が取れる(2019.1現在)
- 保証料0円・繰上返済手数料0円・・・借入の初期費用を抑え、気軽に繰上返済ができる
- 返済安心サポート・・・ここは国ならではでないでしょうか。民間では中々できない内容があります。
少し詳しく・・・
住宅ローンは長く返済期間があります。その間に家族構成や経済状況、
勤め先など変化が起こることが予想されます。
借入当初考えられなかった事態や、逆に好転した場合などに、柔軟に対応ができるようになっています。
考えられなかった事態とは・・・
会社の業績が悪化し、収入が減る こんなときに
- 返済期間の延長や月々の負担を軽減できる相談ができる
- ボーナス払いを組み込んでいたが、月々に変更したい
このような要望に相談に乗ってもらうことができる点は安心ですね。
安心相談をかいつまんで列挙してみますね。
- 振込み期日の変更
- ボーナス払い月を変更
- 毎月払いとボーナス払いの併用から毎月払いのみへの変更、またはその逆
- 毎月払い分とボーナス払い分の金額内訳変更
- 元金均等返済から元利均等返済へ、またはその逆
- 返済期間の短縮・延長
こういった相談や手続きに手数料が掛からないのも魅力です。
では、その商品の中身は・・・
- 【フラット35】
- 【フラット20】
- 【フラット35S】
- 【フラット20S】
- 【ダブルフラット】
が主な商品でしょうか。
「35」と数字が付くものは、20年以上35年以内の年数でローンを組みます
「20」と数字が付くものは、15年以上20年以内の年数でローンを組みます。
20のほうが金利が低く設定されている
『S』が数字の後に付くものは、
質の高い住宅を購入する方には0.25%(2019.1現在)の金利優遇をしますよ、という意味。
たまに、優遇金利特別0.6%などという期間限定優遇金利が現れるときがあります。
その場合はチャンスです、とりあえず申し込みましょう。
申し込みをし、承認が出れば2年間は有効です。
私の知人で、0.6%優遇の権利を使い、フラット20の金利が0.44%になったのを目にしています。
固定金利が0.44%ということは、変動金利より低く、リスクがない。こんな情報が入ったら即申し込みです。
借りなければそのままで良い訳です。
(団信が別での支払いの時代です)
『S』の使える質の高い住宅とは・・・
省エネルギー性、耐震性、可変性など優れた住宅を取得する場合に適応されます。
質の高い住宅を取得するには、その分費用も少なからず掛かりますよね。
ではその費用UP分の一部を金利優遇しましょう。という補助のようなもの。
『S』を使う場合の注意点
『S』を利用したい場合は、建築をお願いするメーカー等に申し出ましょう。
対応できるところとできないところがあります。
また、建築中に検査(適合証明書の交付)も必要になってきます。その為の書類作成等もあるので気をつけましょう。(中古住宅も対象)
『S』で購入する場合と、そうでない場合の金利差はどのくらい?
借入額 3000万円 借入期間 35年 金利1.02%(H28.9)とした場合の例
Sでない場合 と Sを利用できる住宅の差額は
843,124-
『S』のほうが返済額が安くなります。
しかも長期優良住宅なので価値があがりますね。
気になるもうひとつの商品は『ダブルフラット』
これは、フラット35とフラット20などを組み合わせる商品のこと。
35と35でもOK。20と20でもOK。
そのメリットは、月々の返済額をコントロールすることができる点
そして、35と20を組み合わせると、支払い総額が少なくなるということ。
基本的に、フラット20のほうが金利が低く設定されています。
その分、支払額が少なくなるのですね。
組み合わせ方次第ですが、計算したところ150万円以上の削減につながる組み合わせがありました。
組み合わせの例・・・
30歳のご夫婦でお子さんが3歳・0歳などのとき
一番教育費が掛かりそうな、高校生にあがる頃はローンで言うと15年前後くらいでしょう。
現在、住宅ローンを10年以上組むと10年間減税が受けられます。(消費税が10%になると、13年間減税が受けられます)
年末ローン残高に対して上限1%を所得税から。
それでも引ききれない場合は翌年の住民税からひかれます。(住民税の上限13.65万円)
3000万円の年末ローン残高があれば1%の30万円が上限として戻ります。
そう考えると、フラット20の金利が低い商品を15年間組み込むと、
15年間は返済額が増えますが、ローン減税を返済に充てることもできます。
金利が低く、支払い期間が少ないモノを組み込むことで
実質支払い総額が減り、16年目以降、教育費がかかるときに、支払いが少なくできる。
このような使い方ができるのです。
また、最初は夫婦共働きなので早めに返済をしていき、後の返済を楽にしていくという考え方もありますね。
ローン減税を受けるには・・・
借入機関から年末残高証明が送られてきます。それを持って確定申告します。
初年度のみ、確定申告をすれば次年度からは会社の年末調整にて自動化されます。
初年度も確定申告の時期に申告すれば、4月には口座に振り込まれます。
ちょっとしたボーナス気分が味わえますね。
確定申告で還付申請だけであれば、1月1日以降、確定申告が可能です。
ちょっとお得な知恵袋(固定でも変動でも言える知恵)
ローン減税分を10年間貯め込んでおけるならば、ローンの支払いに当てるのは10年後がベストです。
返済をしてしまうと、次の年の年末残高が減りますね、するとその減った1%が上限になりますので、よく計算してメリットがあるようであれば11年目の減税が終了するときに貯め込んだお金を繰上げ返済にまわすと総額を減らすことにつながります。(住宅ローン控除特例の13年の場合は、13年以降に)
金利が低い今、減税の1%より少ない金利(0.8%なら)で借りることができると
細かい計算抜きにしますが借りているのに、0.2%もらえてる♪♪♪という計算に。
低金利ありがとうですね。
長期固定金利フラット35のメリットとデメリット
フラット35最大のメリット
上で書いたように長期での固定金利を利用するメリットは返済計画が立てられるということ。
これが、変動金利になるといつ上がるのか、未払い利息をどうしようなどの不安から逃れることができます。
この精神的な負担を避けられることは、凄いメリットに感じます。
変動金利については、『住宅ローンの変動金利知らないと怖い裏の顔』の記事をご覧ください。
借入審査に関しても、民間金融機関は個人の審査がメインになりますが、
フラット35は、基本的に物件に対しての審査がメインになります。
その分、民間金融機関のほとんどが、勤務年数2年は最低ラインですが、
フラット35は、転職間もない人でも給与明細があれば数ヶ月でも審査が可能です。
また契約社員などの正社員でない方も対象となります。
実際に私は住宅支援機構の担当の方と話をする機会がおおくありますが、
民間金融機関よりも借入額が増やせるという話をしてこられます。
また 審査をしてみても民間より多く借入を起こすことが実際に可能でした。
機構では年収により借入負担の割合を決めています。
年収400万円以上は35%以下(返済負担率)
年収400万円以下は30%以下としています。
借りすぎるというのも返済が滞る危険をはらんでいるわけですが
一生の住宅を中途半端にしない選択肢は欲しいところです。
フラット35デメリット
ここ何年も金利が上がると叫ばれ続けていますが、一向に上がる気配がありません。
日銀もマイナス金利政策に舵を切り、住宅ローン金利は下がり続けています。
固定金利が低い今の時代でも、変動金利のほうが低く設定されています。
その分、低い金利がずっと続けば固定金利を選択するより、総支払額は減ることになります。
また、多くの民間金融機関は団体信用生命保険が金利に含まれているケースが多くあります。
フラット35では団体信用生命保険は任意加入となり、『加入する・加入しない』という選択肢の幅こそありますが
入らない選択をした場合、万が一があった場合はローン免除が受けられません。
それに相当する何かしらの保険が必要になることでしょう。
機構団信に加入する場合は1000万円当たり35800円です。(3台疾病付は54700円)
残高に追随して減っていきますが、3000万円の場合初年度 107,400円の保険料。
ここが、デメリットになるかも知れない部分になります。
まとめ
個人的には、過去最低金利をたたき出しているこの現状からすると、今後景気を上向きにすることに注力されてきます。そうなると、おのずと金利は上昇基調に転じるようになりますので、リスクとすれば変動金利は上がるという結論になります。最低金利の今だからこそ、長期固定金利で安心を求めるのがリスクのない人生計画になるでしょう。
団体信用生命保険(機構団信)が高いと感じる方は、それに変わる保険を検討すると良いでしょう。年齢によりますが、他の生命保険のほうが少なく無駄なく組めるというシミュレーション結果が出る方もいます。信頼できる、ファイナンシャルプランナーにライフプランを相談するのが一番です。
【参考記事】
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