ひとが住む以上、住宅には「窓」が必要不可欠なアイテムです。
しかし、窓があることで、住宅全体の断熱性能を低下させてしまっています。
その理由は、住宅にとって、窓からの熱の出入りが一番多いことが原因です。
特に冬場になれば、外の冷たい空気と室内の暖められた空気が交わる場所が窓となり、結露の原因にもつながります。
つまり、窓からの熱の出入りを少なくすること(断熱性能を高めること)で結露は起きにくくなり、快適性が上がり、経済的にも優しくなります。
窓の断熱性能を上げることは、メリットはあってもデメリットは少ないのです。
今回は、どんな窓を選択すればいいのか、しくみや性能について、基準を含めて紹介していきます。
住宅性能を左右しにくい高性能な樹脂サッシ(窓)
冬あったかいくて、寒くない家で、結露に悩まされない家がいいな。
そう、それを可能にするために採用したいのが、樹脂サッシなんだ。
住宅に使われる「窓」にはいろいろな種類があります。
どれを選んだらいいのか?迷ってしまいますよね。
しかし、どんな家に住みたいか?を突き詰めていくと、今現在で選択するのは「樹脂サッシ」一択です。
窓がどんな構成になっているのかを知りながら、最後に樹脂サッシのランキングを見ていきます。
窓の仕組み
窓は、どのような素材が組み合わさってできているのかを見ていきます。
- サッシ枠
- ガラス
- ガラスの中間層
- 中間層に入るスペーサー
- ガラスに施すLow-E加工
大体このような形になっています。
昔ながらの単一ガラス(1枚ガラス)では中間層は存在しませんが、現在の窓はほとんどが複層ガラス(ペアガラス)となります。
では上から順に詳しく見ていきましょう。
※部材紹介用の参考写真は、LIXIL製の「エルスターX」を使用しています。
窓の種類(サッシ枠)
窓に使われるサッシ枠には、4つの材質があります。
- アルミサッシ
- アルミ樹脂複合サッシ←【需要】
- 樹脂サッシ←【おすすめ】
- 木製サッシ
2018年現在、一番需要があるのがアルミ樹脂複合サッシです。
需要があるというよりも、価格面からの落ち着くところがアルミ樹脂複合サッシになっているというほうが正しいかもしれません。
昔の日本では、木製のサッシしかありませんでした。しかし、高度成長を遂げる中でアルミのサッシ需要が増え日本の窓は「アルミサッシ」しかないというくらいに普及しています。
しかし、このアルミサッシの普及は家の性能や人の快適性を追求した産物ではなく、工業化されただけのものでした。
時代は変わり、省エネ化や、快適性を求めるようになり、海外では当たり前となっている樹脂サッシが注目され始めました。
今現在で言うと、アルミサッシは一般戸建てには使われることがなくなり、使用されたとしても、倉庫などの人が生活しない建築物くらいでしょう。
窓ガラスの種類
窓ガラスは現在、1枚のものから5枚のものまで販売されています。
- 単一ガラス
- 複層ガラス(ペアガラス)
- トリプルガラス←【おすすめ】
- クワトロガラス
- 5枚ガラス
当然ながら、1枚よりも2枚。2枚よりも3枚と枚数が多くなるにつれ断熱性能が高まります。
現在の窓の性能と価格とのバランスをとると、各ハウスメーカーが標準仕様で採用しているのは、ペアガラスがほとんどです。
これは、2020年に省エネルギー基準を満たすために必要なガラスとするならペアで十分なことから、採用されているものと思います。もちろんサッシ枠と一緒で価格面でのコストバランスもあります。
ただ、省エネ性や快適性を追求していき、20年30年先を見据えるならば、最低限トリプルガラスが必要な時期に来ています。
2020年に義務化される、省エネルギー基準の先を見据えた、ZEH基準というものがあります。
そのZEH基準は2030年以降の住宅の在り方を考えたものです。
住宅は一度建てたら、そうそうリフォームするものでもないので、長年建築当時の設備を使うことになります。
今ペアガラスが一般的なように、10年後はトリプルガラスが一般的となります。
先を見据えるのに、世界の窓事情がとても参考になります。(←後述しています)
2018年現在、コストバランスや供給量などの視点からすると、トリプルガラスが最も効果的な窓になるでしょう。
クワトロ(4枚)や5枚ガラスもありますが、商品として充実しているわけではなく、それだけで住宅1棟賄うことができない状態です。
これも、時間が経てば一般に手に入るようになる時代が来るでしょう。
ガラスの中間層
複層ガラス(ペアガラス)以上になると、ガラスとガラスの間に空間が生まれます。
現在その空間には3つの物質のどれかが採用されています。
- 空気(ドライエアー)
- アルゴンガス
- クリプトンガス
断熱性能は順に・・・
ドライエアー<アルゴン<クリプトン
と性能が上がっていきます。
- クリプトンガス U値 0.009W/(㎡・K)
- アルゴンガス U値 0.016W/(㎡・K)
- ドライエアー U値 0.024W/(㎡・K)
数値が小さいほど、断熱性が高まりますので、クリプトンガスが優勢になります。
中間層に入るスペーサー
複層ガラス以上になると、ガラスとガラスの間にスペーサーをはさみます。
そのスペーサーは・・・
- アルミ製
- 樹脂製
の2種類にわかれ、断熱性能は樹脂のほうが優勢になります。
アルミ製を採用すると、温度差によりますが、熱伝導が良いがために結露を誘発する原因ともなり得ます。
実際に、アルミ樹脂複合サッシにアルミスペーサーを採用した窓が、外気温0℃になるとほぼ間違いなく結露することが分かっています。(室内が快適な温度になっている場合)
ガラスに施すLow-E加工
Low-E加工は、ガラス面に特殊金属膜をコーティングすることで、遮熱効果が高まり断熱化を果たす役割をします。
これは、冬場の日射を窓から室内に取り込もうと自然の力を頼る場合は、実はLow-E加工は邪魔な存在となり、遮ってしまうものとなります。しかし、暖房効果を高めるためにはあったほうが良いことになりますので、冬を旨とする住宅には必要なものではないでしょうか。
複層になると、ダブルLow-E加工ができたりと、さらに高断熱化を果たすことができます。
結露しにくい選択するべき窓は!?
温かく、寒くなく、結露が起きにくい窓ならトリプルガラスの樹脂だね。
条件によっては、ほんの少し結露はするけど対策が可能だからね。
30年以上先を見据えた家づくりができるなら、トリプルガラスダブルLow-E樹脂サッシ(クリプトンガス、樹脂スペーサー仕様)をおすすめします。
このサッシは、熱貫流率という断熱性能を表す数値が、1.0を切る性能となります。
熱貫流率1.0を切る窓ってどんな窓なの?
熱貫流率1.0を切る【樹脂窓ランキング】
この熱貫流率(U値)が1.0を切る性能を有している樹脂窓をランキングしました。
ランク | 会社名 | 商品名 | 熱貫流率 U値 | ガラス | 中空層 | スペーサー |
1 | LIXIL | レガリス | 0.55 | 5枚ガラス | アルゴンガス | 樹脂SP |
2 | エクセルシャノン | シャノンウィンドウUF | 0.73 | トリプル | クリプトンガス | |
3 | YKK AP | APW 430+ | 0.78 | トリプル | クリプトンガス | |
4 | LIXIL | エルスターX | 0.79 | トリプル | クリプトンガス | |
5 | 一条(ハウスメーカー) | オリジナルサッシ | 0.8※ | トリプル | クリプトンガス | |
6 | 三協 | トリプルスマージュ | 0.86 | トリプル | クリプトンガス | |
7 | YKK AP | APW 430 | 0.90 | トリプル | アルゴンガス | |
8 | LIXIL | エルスターX | 0.91 | トリプル | アルゴンガス | |
9 | エクセルシャノン | シャノンウィンドウUF | 0.91 | トリプル | アルゴンガス |
※5位の一条工務店のみハウスメーカー独自に窓を製造していますが、元の技術は「エクセルシャノン」です。
一条工務店では、さらに開口部(窓)の性能を高めるために、断熱ハニカムシェードをi-シリーズで標準採用しています。採用後の熱貫流率は0.6となり、レガリスに追いつくレベルの性能を発揮します。
おすすめ参考記事
一条工務店のハニカムシェードは窓の断熱性能2割増し!過剰な加湿は結露の原因
世界の窓事情と日本の窓基準比較
世界の国の窓基準は、最低限の基準を設けています。
これらの国で、日本の窓を採用するとなると、最低限樹脂製のトリプルガラスが必要だということが分かってきます。
ただ単に、性能が高ければいいという訳でなく、快適性のアップや経済性(光熱費)にかかわってくるんです。
国 | 熱貫流率 |
フィンランド | 1.0 |
ドイツ | 1.3 |
デンマーク | 1.5 |
チェコ | 1.7 |
イギリス | 1.8 |
ハンガリー | 2.0 |
フランス | 2.1 |
イタリア | 2.0 |
アメリカ | 1.7 |
中国 | 1.6 |
日本の最高基準(寒冷地) | 2.33 |
日本の窓基準
日本の窓は、★で性能を評価していますが、最高等級となる★4つの性能が、2.33以下となっています。
上記の世界の窓基準(国別)は、最低基準を設けていることから、いかに日本の窓が遅れているかが分かります。
熱貫流率 | 等級記号 | 断熱性能 |
2.33以下 | ★★★★ | 高い |
2.33~3.49 | ★★★ | 中高 |
3.49~4.65 | ★★ | 中低 |
4.65超 | ★ | 低い |
省エネルギー基準のように、さらに細分化して★5つ、★6つくらいにするのが妥当かもしれません。
まとめ
日本の住宅性能は、世界各国から比べると格段に劣っています。そのため、性能アップの伸びしろは大きく残されているので、家全体の断熱性能はもちろん、各部材の性能が今後高まることが予想できます。
今住宅を建築するなら、予算の許す限り最高性能の設備を導入することをおすすめします。
それが、窓であれば樹脂サッシのトリプルガラス、クリプトンガス充填タイプです。
高性能な住宅を選択するのに、参考となるのは断熱性能です。
下記記事は、各ハウスメーカーの断熱性能をランキング化したものです。
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