住宅を建てるきっかけは人それぞれなように、進め方もこれといった決まりがありません。
しかし、「とりあえず住宅展示場へ行ってみようか」というのはおすすめしません。
それは、人生最大の買い物となるものを、目標を定めずに成功するわけがないからです。
例えば、初めての海外旅行に行くとしましょう。右も左もわからない状態で行けますか?
ハワイやグアムなどの、日本人が行きやすいところならまだしも、その国の常識もわからず、治安も悪ければ、ふとした瞬間に手荷物がなくなったりします。
でも、事前に知識を備えていたならば、防御するでしょう。
それと同じことで、住宅に関しては、ほとんどの方が初めてのことになると思います。
住宅展示場では、慣れない言葉が飛び交い、親切にしてくれる営業マンがいれば、頼れると勘違いしてしまうでしょう。
ハウスメーカーや工務店が敷いたレールに飛び乗ってしまうと、後から「ああすればよかった」「そんなこと知らなかった」となるのがオチです。
例えば、光熱費がかかりにくい家に住みたいと思った場合、客観的に判断できる「UA値」という指標があります。
この「UA値」がA社より、B社が劣っていた場合、B社はA社を選んだほうが良いですよ。とはっきり助言してくれる営業マンがどれだけいるでしょうか。
つまり、下調べをすれば、住宅についての知識が身につき、自分にとってあっているのか?あっていないのか?の判断を付けることができるようになります。
今回は、住宅会社や展示場へ行く前に知っておきたい最低限の住宅知識を学んでいきます。
住宅の代表的な建築構造3種類
- 木造
- 鉄骨造
- 鉄筋コンクリート造
これらの材質を表すものは、住宅の基本となる構造を何で作っているかを表しています。
簡単に言うと、「木」なのか「鉄」なのか「鉄筋コンクリート」なのかです。
木造
日本の住宅の8割程度が「木造」で建築されているくらい、ポピュラーな建築方法です。
木を軸として、住宅の形を形成していくので、自由度が高い造りになります。
また、木には調湿作用があることから、四季のある日本にあった造りともいわれます。
住宅の構造の中では、一番経済的な材料ともなり、さらに「無垢材」と「集成材」とに分かれます。
集成材が出始めたころは、歴史が浅いことから、長持ちしないなど言われてきましたが、今現在ではそのようなことが言われなくなりました。
木造の工法は大きく2種類
- 木造軸組み工法
- ツーバイフォー工法
【木造軸組み工法】
昔から日本にある工法で、間取りの自由度が優れています。
基本的に、耐震強度を上げるときは、筋交いを使いますが、近年では、構造用合板を筋交いの代わりに使うところが増えています。
構造用合板を使う利点として、地震の横揺れ等を、面で支えることができるようになり、耐震強度が増すのが特徴です。モノコック工法や面工法などといわれています。
【ツーバイフォー工法】
ツーバイフォー工法はアメリカから輸入されてきた工法です。軸組工法に比べると自由度が少なく、増築などの後付けが難しい工法の一つです。
近年、ハウスメーカーを中心に、ツーバイシックス工法が多く取り入れられるようになりました。
ツーバイシックス材は断面積が増えることから、耐震性が高く、さらに壁厚がとれることから、高断熱にしやすい特徴を持っています。
木造を作れる会社
- ハウスメーカー
- 工務店
- 大工
鉄骨造
日本の住宅がほぼ、木造であったところに、工業化製品として鉄骨造の住宅が参入してきました。
日本の大手ハウスメーカーというのは、鉄骨造のプレハブ住宅を扱うところが多くを占めます。
鉄骨造は従来、高層階のマンション等を作る際に用いられてきましたが、耐震性の高さもあり、戸建てにも応用されてきました。
戸建て住宅としてのシェアは、10%を超え勢力を拡大してきましたが、大手にしか作れないことや、断熱気密に限界があることから、これ以上爆発的に伸びるようには感じません。
鉄骨造を作れる会社
- ハウスメーカー
- 一部工務店
鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリートといえば、大きなショッピングモールや消防署、学校等が思い浮かびます。
木造・鉄骨造に比べ耐震性が高いのが特徴になりますが、経済性、快適性では劣ります。
また施工できる会社が少ないこともあり、シェアは伸ばせていません。
戸建てで、大空間を作りたい場合には適していますが、近年技術が高くなったこともあり、そのほとんどは鉄骨造で賄え、やり方によっては木造でも可能な場合があります。
鉄筋コンクリート造を作れる会社
- ハウスメーカー
- ゼネコン
一戸建てにある3種類の住宅
一戸建てには、大きく分けて3つの住宅があります。
- 建売住宅
- 規格住宅
- 注文住宅
さらに、注文住宅には「完全フルオーダーの注文住宅」と、ある程度「仕様が決まっているセミオーダー住宅」の2種類に分かれます。
注文住宅と言っても、多くのひとが選ぶハウスメーカーは、セミオーダー住宅になるのですが、よくある不満の一つに・・・
- 「あれができない」
- 「これができなかった」
という、建てる側の「要望が聞き入れられなかった」という口コミをよく見ます。
じつはこれ、完全フルオーダーの注文住宅と、セミオーダー住宅の勘違いをしているパターンが多いんです。
大手ハウスメーカーは、一定の品質を確保しながら量産するため、構造や仕様などをある程度規格化しています。
そのため、初めから施主個人の要望を、一から取り入れることができない様になっています。
しかし、施主側は注文住宅と「勘違いしている」もしくは「知らない」「説明が足りない」がために、不満としてネットに書き込みをするようになります。
このようなことになると、ストレスがたまりますので、最初にどういったものなのか?を知っておきましょう。
【建売住宅】メリットデメリット
建売住宅とは、土地と建物をセットにして販売しているものです。
多くの場合、分譲を生業としているビルダー等が土地を取得し、区画を区切って、仕様の決まった住宅を建てて販売します。
そのため、多くの材料を一括で仕入れたり、工期を短縮できたりすることから、一戸建ての中では一番経済的に取得ができる住宅の一つです。
【メリット】
- 経済的
- すぐに住むことができる
- イメージがつく
- 価格が提示されている
- 街並みが形成されている
【デメリット】
- 間取りの変更が利かない
- オリジナリティがない
- 建築中のチェックができない
- 性能は期待できないことがおおい
【規格住宅】メリットデメリット
規格住宅とは、ある程度決まったプラン(間取り)の中から、気に入ったものを選び、さらに設備等を決まった中から選択していく住宅です。
ある程度決まったプランから選ぶことで、「ゼロから作るのはちょっと」という人には向いています。
この規格住宅は、ハウスメーカーに設定されていることがあり、注文住宅と建売住宅の間に位置する商品のように思えばいいでしょう。
【メリット】
- 建売より選択肢があり選ぶことができる
- 選択式が多く打ち合わせ時間が短い
- 注文住宅より経済的
【デメリット】
- 我慢することもでてくる
- 建売よりは高い
- 取り扱いメーカーが少ない
【注文住宅】メリットデメリット
「注文住宅」と聞くと、ほとんどの人が大手ハウスメーカーを思い浮かべます。
しかし、本来の意味では、ゼロから作るという意味で、設計事務所で購入する住宅の意味合いが強いのが事実です。
冒頭でも、お話したように、大手ハウスメーカーのほとんどが「セミオーダー住宅」となります。
つまり、一般的に言われている「注文住宅」には以下の2つの住宅の意味が含まれているんです。
- セミオーダー住宅
- フルオーダー住宅
【セミオーダー住宅】
セミオーダー住宅には、細かな「仕様書」が存在します。
例えば、
- 基礎の仕様
- 壁の仕様
- 屋根の仕様
- 断熱材の仕様
- 窓の仕様など
いわゆる「標準仕様」というものです。
この標準的な仕様がどのようになっているか?で住宅の価格が左右されます。
ハウスメーカーの「商品タイプ」というものですね。
この商品タイプ別に、ある程度の自由性を出すために、「オプション」というものが存在します。
基本的には、決まっている仕様はいじらずに、付け足すことで多少の「オリジナリティ」を出していくことができるようになります。
これが、セミオーダー住宅です。
「〇〇ハウスはみんな似てるよね」なんていうのは、仕様が決まっているから当たり前なんだね。
【メリット】
- 建売・規格より自由度が高い
- フルオーダー住宅より打ち合わせ時間が早い
【デメリット】
- 建売・規格より高い
- 要望が叶わない点がある
【フルオーダー住宅】
フルオーダー住宅には、「仕様書」というものが存在しません。
セミオーダー住宅であったような、「標準仕様」というものが存在せず、ゼロから作り上げるためです。
設計者と注文者が一から打ち合わせを行い、
- 基礎はどうしましょう
- 断熱材は何を採用しましょう
- 窓はどこからどんな性能のものを仕入れましょうか
- キッチンはメーカーもの?それともオーダーしますか?
決定する事項は、ものすごく多く細かく、しかしすべてが叶えば満足度はものすごく高いでしょう。
そのため、価格は積み上げ方式となり、選ぶ部材により左右されます。
仕様が決まっている、ハウスメーカーでは「できません」という言葉がでますが、基本的にフルオーダーとなれば、建築基準法を侵さない範囲でできないことはありません。
極端な話、スケルトン住宅を作ることもできるのが、注文住宅(フルオーダー住宅)です。
有名芸能人が3億の豪邸を作った、なんて奴は、これなんだね。
決めることも多いから、打ち合わせに1年以上かけるなんてことはざらなんだよ。
【メリット】
- 要望を満たすことができる
【デメリット】
- 費用が高くなる
- 時間がかかる
建築を依頼するところは大きく3つ
ここまで、住宅の構造、工法、種類を見てきましたが、建築を依頼する先は大きく3つに分かれます。
- ハウスメーカー
- 工務店
- 設計事務所
このどれかに依頼することが決まれば、おのずと住宅の構造や工法、種類が決まってきます。
ハウスメーカーに頼む
ハウスメーカーの場合、木造・鉄骨・鉄筋コンクリートとすべてに対応できます。
種類で言えば「規格住宅」「セミオーダー住宅」になるでしょう。
木造メインのハウスメーカー
- 三井ホーム
- 一条工務店
- 住友林業
- ミサワホーム
- タマホーム
- 桧家住宅
- アイフルホーム
- クレバリーホーム
- など
鉄骨造メインのハウスメーカー
- 大和ハウス
- 積水ハウス
- セキスイハイム
- ヘーベルハウス
- パナソニックホームズ
- トヨタホーム
- など
鉄筋コンクリート造メインのハウスメーカー
- 大成建設
- レスコハウス
- など
工務店に頼む
工務店は・・・
- ハウスメーカーの下請けをしているところ
- フランチャイズチェーンに加盟しているところ
- 自前で商品をつくって提供しているところ
と様々です。
選ぶ工務店の規模により、できる住宅の幅が変わってくることが多くあります。
また工法は、そのほとんどが木造となりますが、一部で鉄骨造を扱うことができる、規模が大きな工務店も見かけます。
日本の住宅を作っているシェアは、工務店や大工が約7割を占めているんだ。じつは、ハウスメーカーは2∼3割程度のシェアしかないのが実情なんだ。
日本の住宅が、世界に後れをとている要因の一つにもなっているってきいたことがあるよ。
設計事務所に頼む
設計事務所では、在籍する建築士が設計できるならば、どんな構造でも可能です。
山の斜面に建築をするとかで、特殊な事例を解決するには、設計事務所が欠かせません。
一定の枠の中で仕事をしている、工務店やハウスメーカーにはできない工事を請け負うことができます。
世界に一つだけの住宅をつくりたいなら、設計事務所ね。
まとめ
今回は、住宅の種類や工法、依頼先について見てきました。
どんな種類があるのかが、ざっくりと分かったと思います。
自分にはどういった住宅があっているのか?
まずはそこから見極めていくことをおすすめします。
ローコスト住宅で失敗してしまいがちな点を基礎知識としてまとめました。
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