住宅を検討するときに、「省エネ住宅」は欠かせない選択基準の一つになってきています。

でも、なにをもって「省エネ住宅」と呼べるのか?疑問はありませんか?

 

ハウスメーカーが「省エネ住宅」です。と言ったから?

昔の住宅に比べて光熱費が安く済む住宅だから?

 

本当の「省エネ住宅」は、

 

  1. 家にかかるエネルギーコストがかかりにくく
  2. 暑さ寒さからすまい手を守る快適性をそなえ
  3. 身体に負荷を与えないストレスフリーで
  4. 長持ちする耐久性の高い住宅

 

のことを言います。

簡単に言うと、省エネ住宅は「省エネルギー基準」を満たした住宅のことを指します。

 

ただし、気を付けてほしいのは「省エネルギー基準」はあくまで最低限のレベルを示したものということです。

光熱費が1万円は高いと思う人もいれば、安いと思う人もいたり、基準レベルで快適という人も入れば、そうでない人もいます。

 

「省エネルギー基準」は、国が決めている数値になるので、それを満たしたからと言って、すべての人に「省エネ住宅」といえるのか?といったら違うということです。

「ハウスメーカーの選び方」省エネルギー基準は最低限のレベル

2019年現在、最新となる「省エネルギー基準」は、平成28年(2016年)に示されている基準です。

日本の戸建て住宅に関する「省エネルギー基準」は、過去5回にわたり改正されてきました。

 

  • 昭和55年省エネ基準
  • 平成4年省エネ基準
  • 平成11年省エネ基準
  • 平成25年省エネ基準
  • 平成28年省エネ基準

 

改正されるごとに、住宅性能(特に断熱性能)は、高まってきていますが、先進諸外国から見ると、まだまだ低いレベルの基準となっていることは、知っておきたい事実です。

つまり、これから先にも基準がどんどん上昇していくことを示しています。

 

例えば、補助金の出る「ZEH住宅」は、平成28年省エネ基準よりも高い次元でのレべルを求められていますし、それよりも先には「HEAT20」「LCCM住宅」という物差しがあります。

 

【平成11年と平成28年省エネルギー基準】

H11省エネ基準 Q値 H28省エネ基準 UA値 主な地域
Ⅰ地域 1.6 1地域 0.46 北海道北部
2地域 北海道南部
Ⅱ地域 1.9 3地域 0.56 東北北部
Ⅲ地域 2.4 4地域 0.75 東北南部・北陸
Ⅳ地域 2.7 5地域 0.87 北関東
6地域 南関東以南
Ⅴ地域 2.7 7地域 九州南部
Ⅵ地域 3.7 8地域 沖縄

 

平成28年省エネ基準はどのくらいのグラスウール断熱材が必要?

省エネ基準となる、Q値やUA値が数字で表されても、あまりピンとこないかもしれません。

そこで分かりやすいように、一般的に多く使われている断熱材「グラスウール」を使用した場合に、どの程度の量を入れると、省エネ基準に適合するのか?を見ていくことにします。

 

私の住んでいる北関東の地域(UA値=0.87)を参考に算出してみます。

【平成28年省エネ基準を満たす断熱仕様】

部位 断熱材 厚み
天井断熱材 高性能グラスウール16k 155㎜
壁断熱材 高性能グラスウール16k 85㎜
床断熱材 高性能グラスウール24k 80㎜
窓仕様 アルミサッシ 複層ガラス

最低限、省エネ基準をクリアすることだけを意識すれば、上記表の数値を目指すといいわけですが、あくまで最低限のレベルになります。

 

正直、このレベルで家を建てたなら、日本のどの地域に建てたとしても、夏は暑く、冬は寒い家になるのは間違いありません。

スポンサードリンク

 

それを避けるには、断熱材を施工する空間があれば、できるだけ厚みを増すことです。

しかし、壁に関しては骨格となる「柱」の太さにより、断熱材を施工する限界が決まってくるので注意が必要です。

 

例えば、木造に多い3.5寸柱、4寸柱の場合

 

  • 3.5寸柱=105㎜
  • 4寸柱=120㎜

 

ツーバイフォー、ツーバイシックスの場合

 

  • ツーバイフォー=89㎜
  • ツーバイシックス=140㎜

 

となります。

 

どの柱で、家を作っても基準を上回る断熱材を施工することは可能ですが、壁にはコンセント配線やボックスが設置されることになり、その部分の断熱材が薄くなるようであれば、断熱欠損につながります。

最低限の基準をクリアするのでもこれですから、より高性能な断熱材を採用すると安心でしょう。

 

【グラスウールの断熱性能表】

断熱素材 熱伝導率kwh・㎡ 規格
グラスウール 10k 0.050 JIS
グラスウール 16k 0.045
グラスウール 24k 0.038
グラスウール 32k 0.036
高性能グラスウール16k 0.038
高性能グラスウール24k 0.036
高性能グラスウール32k 0.035

※熱伝導率は小さくなればなるほど高断熱になります。

 

今回基準を満たすために採用していたのが、高性能グラスウール16kと24kです。

さらに高い性能を目指す場合は、グラスウール以外の断熱材の検討も視野に入れると幅が広がります。

 

グラスウールを採用した高断熱ハウスメーカー「スウェーデンハウス」

ここまで、グラスウールと省エネ基準を参考にしてきたので、それを採用している高断熱住宅の「スウェーデンハウス」の断熱仕様を参考に見てみます。

 

スウェーデンハウスは、高性能グラスウールを採用して高断熱化を果たしています。

 

スウェーデンハウスの断熱性能(UA値)は全国平均で0.43。

とても高い数値を実現しています。

 

【スウェーデンハウスの断熱仕様】

部位 断熱材 厚み
天井断熱材 ブローイング(吹き込み) 300㎜
壁断熱材 高性能グラスウール24k 120㎜
床断熱材 高性能グラスウール16k 200㎜
窓仕様 木製サッシ トリプルガラス

※ スウェーデンハウス公式ホームページより

注意! 断熱性能は、間取りにより左右される部分があるため、上記断熱材を同じように使用したとしても、スウェーデンハウスと同じUA値になるとは限りません。

 

各ハウスメーカーの断熱性能ランキングを記事にしています。

関連記事

2019最新!ハウスメーカー別断熱性能ランキングTOP20!木造が上位独占【最新】

 

2020年省エネ基準義務化は見送り

2020年に実施予定されていた、建物の省エネルギー基準の義務化は、小規模住宅(つまり一般住宅)については見送り(延期)となりました。

省エネ基準が見送りになった理由には、基準を満たす住宅を照明するための計算ができる事業者が50%程度にとどまっており、このまま義務化を迎えると義務化した住宅を提供できる事業者が半分しかいなくなり、業界が混乱する事態となることが、大きな要因の様です。

いまから7年も前から、義務化するための準備を行ってきていましたが、後1年となった今50%ということは、事業者が省エネ性能に対して高い意識を持って取り組んできていないことが分かります。

 

ただ、消費者としては説明されなければ、「そんなもんか」で過ぎ去ってしまいます。

建ててから「寒い」「暑い」「光熱費がかかる」では、悔やんでも悔やみきれません。

 

大手ハウスメーカーには、省エネ義務化延期でも、省エネ基準に適合しているかどうかの説明義務が実施されます。

 

関連記事

国土交通省は2020年省エネルギー基準適合義務化「延期」の方針を示した【2018.12.6住宅産業新聞】

まとめ

現在、省エネ基準を満たす新築住宅は、60%程度となっています。

つまり、40%の人は基準を満たしていない住宅を手に入れていることになります。

最初にお話したとおり、世界的に見ると日本の最新基準ですら、低性能な状況であるにもかかわらず、それを満たしていない住宅が40%もある現実。

そして、住宅性能を計算できない事業者が多くいることからも、消費者がしっかりと基準を知り、明確な希望を出さないと、夏暑く、冬寒い、光熱費がかかり、不快な環境となる住宅を手にしてしまう危険があります。

中小ハウスメーカーや地元工務店になると、アバウトな断熱性能で販売しているところがあります。

大手でも、まだ価格重視の販売をしているところがあるくらいなので、購入する立場の私たちがニーズを伝える必要があります。

あなたが、今検討しているハウスメーカーや工務店は、省エネについて前向きでしょうか?

スポンサードリンク

しっかりと見極めて、失敗しない家づくりをしていきましょう。

スポンサードリンク