人生最大の買い物となる「住宅」を購入する際、多くのカタログや住宅展示場などで、いろいろな情報を仕入れると思います。
しかし、初めてのことだらけで、見たことや聞いたことを忘れてしまったり、情報がごちゃ混ぜになってしまったりと整理するのが大変です。
特に最近の住宅に求められているのが「省エネ性能」ですが、専門用語が出てきたりして、何をどう比較していいのかわからなくなります。
そこで、「このハウスメーカーはどういった断熱仕様になっているのか?」等が分からなくならない様に、比較する項目を拾い上げ「省エネ住宅比較シート」を作成してみました。
気になるハウスメーカーの項目を埋めていき、それぞれを比較することで、情報がまとまり、「どのメーカー」が「どのような仕様」になっているのかが一目瞭然になります。
もちろんこれだけで、ハウスメーカーを選別することはできませんが、今回は「省エネ」に関する項目を重点的にピックアップしましたので、
- 「暖かい家が良い」
- 「快適な家が良い」
- 「省エネな家が良い」
そんな思いを持っている方には、欠かせない項目となっています。
ここからは、表中にある大項目「断熱材」「窓」「換気システム」と大きく3つに分けているので、その詳細を紹介していきます。
「省エネ住宅比較シート」は、記事の最後にダウンロードできるようにしています。
お急ぎの方は、もくじから「省エネ住宅比較シートダウンロード」へお進みください。
ハウスメーカー省エネ比較!「断熱材」はなにをつかっているの?
元々使われている「断熱材」が、性能の低いものであれば、それ以上の性能を出すことができませんし、高性能の断熱材を使用していても、厚みが薄ければそれなりの性能しか発揮できません。
検討しているハウスメーカーや工務店がどのような断熱材を、どのくらい使っているのか、以下の項目に当てはめて確認しましょう。各社の特徴が一目でわかるようになります。
【チェック項目例】(参考:一条工務店)
↓チェックする項目↓ | 仕様参考例:一条工務店:i-smart(2×6工法) | ||
断熱材の施工場所 | 天井(屋根) | 壁 | 床(基礎) |
断熱材 | 硬質ウレタンフォーム | 左に同じ | 左に同じ |
断熱材の厚み | 235㎜ | 140+50㎜ | 140㎜ |
断熱材のランク | A種ウレタンフォーム保温板2種1号(改) | 左に同じ | 左に同じ |
断熱材の熱伝導率 | 0.020W/ⅿ・k | 左に同じ | 左に同じ |
上記以外に断熱に寄与する要因 | 【例】:遮熱シートを採用しているとか。その場合どの程度の影響があるのか?等 |
断熱材
ハウスメーカーによって使われる「断熱材」が違います。
【参考断熱材名称】
- グラスウール
- ロックウール
- ウレタンフォーム
- ポリスチレンフォーム
- フェノールフォーム
など。
ちょっとポイント!気になるハウスメーカーが、なぜその断熱材を使っているのか?「理由」をきくと、その会社の進んでいる方向性が見えたりします。
断熱材の厚み
断熱材の施工場所は、主に「天井(屋根)」「壁」「床(基礎)」の3つに分かれます。
構造の特性により、最大の厚みが変わり、それにより性能も変わってきます。
※構造の特性とは、例えば一条工務店のツーバイシックス工法だと、外壁の厚みが6インチになるので、14㎝となります。これがツーバイフォーの外壁の厚みだと4インチとなるので約9㎝、4寸の角柱を使う軸組構法だと外壁の厚みが12㎝というように、構造の特性により、断熱材を施工できる厚みが変わります。
断熱材のランク
断熱材にはランクが存在します。
例えば、日本で一番使われている「グラスウール」には、普通グラスウールであったり高性能グラスウールであったり。
さらに、10k・24k・30kなどの密度にも違いが出てきます。基本的には、数字が大きくなればなるほど、密度が濃くなり、断熱性能が高まります。
断熱材の熱伝導率
熱伝導率は、熱の通りやすさを示したもので、数字が低くなればなるほど、熱を通しにくいことを表しています。
下記表を見ると分かりますが、同じ断熱材名称でも、熱貫流率が異なる数字になり、どのレベルを使用しているのかで、断熱性能も変わりますし、コストも変わります。
下記の表にある、硬質ウレタンフォーム一つをとっても、熱伝導率に差があることが分かります。
【例】熱伝導率の差
A種硬質ウレタンフォーム保温板が0.023であるのに対し、建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォームでは0.040と倍近い性能差があります。
【断熱材の名称・種類・熱伝導率】(参考資料)
保温材/断熱材の名称 | 種類 | 熱伝導率(23℃) W/(m・K) |
密度 ( kg/m3) |
使用温度 (℃) (**) |
関連JIS |
A種硬質ウレタンフォーム 保温板 |
1種 | 0.029以下 | 35以上 | 100以下 | JIS A9511 |
2種1号 | 0.023以下 | 35以上 | |||
2種2号 | 0.024以下 | 25以上 | |||
2種3号 | 0.027以下 | 35以上 | |||
2種4号 | 0.028以下 | 25以上 | |||
B種硬質ウレタンフォーム 保温板 |
1種1号 | 0.024以下 | 35以上 | ||
1種2号 | 0.025以下 | 25以上 | |||
2種1号 | 0.023以下 | 35以上 | |||
2種2号 | 0.024以下 | 25以上 | |||
建築物断熱用吹付け 硬質ウレタンフォーム |
A種1 | 0.034以下(*) | —— | ——— | JIS A9526 |
A種2 | 0.034以下(*) | ||||
A種3 | 0.040以下(*) | ||||
B種1 | 0.026以下(*) | ||||
B種2 | 0.026以下(*) | ||||
A種ビーズ法ポリスチレン フォーム保温板 |
特号 | 0.034以下 | 27以上 | 80以下 | JIS A9511 |
1号 | 0.036以下 | 30以上 | |||
2号 | 0.037以下 | 25以上 | |||
3号 | 0.040以下 | 20以上 | |||
4号 | 0.043以下 | 15以上 | |||
A種押出法ポリスチレン フォーム保温板 |
1種 | 0.040以下 | 20以上 | 80以下 | JIS A9511 |
2種 | 0.034以下 | 25以上 | |||
3種 | 0.028以下 | 25以上 | |||
A種ポリエチレンフォーム 保温板 |
1種1号 | 0.042以下 | 10以上 | 70以下 | JIS A9511 |
1種2号 | 0.042以下 | 10以上 | |||
2種 | 0.038以下 | 20以上 | |||
3種 | 0.034以下 | 10以上 | |||
A種フェノールフォーム 保温板 |
1種1号 | 0.022以下 | 45以上 | 130以下 | JIS A9511 |
1種2号 | 0.022以下 | 25以上 | |||
2種1号 | 0.036以下 | 45以上 | |||
2種2号 | 0.034以下 | 35以上 | |||
2種3号 | 0.028以下 | 25以上 | |||
3種1号 | 0.035以下 | 13以上 | |||
3種2号 | 0.035以下 | 13以上 | |||
ロックウール | ウール | 0.044以下 (平均温度70℃) |
40~150 | 650以下 | JIS A9504 |
保温板1号 | 600以下 | ||||
グラスウール | ウール | 0.042以下 (平均温度70℃) |
—— | 400以下 | JIS A9504 |
保温板24k | 0.049以下 (平均温度70℃) |
24±2 | 250以下 |
(*)推奨設計値 (**)JIS 9501
上記表以外にも、断熱材は多く存在しますので、気になるハウスメーカーや工務店が使用する種類を確認する必要があります。
また、会社によって同じ素材でも名称が異なる場合があります。
【例】同素材での名称の違い
フェノールフォーム→ネオマフォーム(旭化成のフェノールフォームの名称)
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断熱性能を左右する「窓」の仕様をチェック
窓も断熱材と同じように、数多くの種類が存在します。
選択する窓次第で、夏の暑さや冬の寒さの感じ方が変わってくるのも事実です。
窓を選択するうえで気を付けたいのが、サッシ枠となる素材と、ガラスの枚数が最重要項目です。
↓チェックする項目↓ | 仕様(参考例:一条工務店) | |
窓 | サッシ素材 | 樹脂製 |
ガラス枚数 | 3枚 | |
Low-eガラス | ダブル | |
中間層 | クリプトンガス | |
スペーサー | 樹脂製 | |
ハニカムシェード | トリプルハニカム |
主に日本で使われているサッシメーカー
- LIXIL(リクシル)
- YKK AP
- 三協立山
- エクセルシャノン
【窓を詳しく紹介している記事】―――
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サッシ素材
サッシ枠には、4つの素材があります。
- アルミサッシ
- アルミ樹脂複合サッシ
- 樹脂サッシ
- 木製サッシ
樹脂はアルミの1/1000の熱伝導率になるので、結露や冷え、光熱費、住宅の劣化を抑制してくれます。
ガラス枚数
ガラスの枚数には
- 1枚ガラス
- 2枚ガラス
- 3枚ガラス
5枚ガラスという窓(LIXIL:レガリス)も存在しますが、コストパフォーマンスが低く、種類もないことから割愛します。
基本的に、枚数が多くなればなるほど、室内室外の温度を遮断することに役立ちます。
しかし、ガラスが多くなればなるほど、窓自体は重くなることも理解しておきましょう。
【参考】
複層ガラス(ふくそうガラス)とは、複数枚の板ガラスを重ね、その間に乾燥空気やアルゴンガス等が封入された(または真空状態にした)中間層を設ける形で1ユニットを構成するガラスを指す[1]。中間層は密閉されているため、基本的に中間層の厚さが増すほど断熱性能が高まるが、封入された気体に対流が発生する程厚くなると断熱性能が頭打ちになる[1]。ただし、中間層にガラスを追加することでこの問題は解消できる。
引用:Wikipedia
Low-eガラス
Low-Eガラス(Low Emissivity = 低放射)とは板ガラスの表面に酸化スズや銀などの特殊金属膜をコーディングしたもので、このLow-E膜が遠赤外線の反射率を高めている。
このため、Low-Eガラスを複層ガラスに使用することで、中空層の放射による熱伝達を低減し、高断熱性能を実現させる。引用:Weblio
中間層
ペアガラス(2枚ガラス)以上になると、そのガラスとガラスの間の空間に入る素材が出てきます。
- 空気層(真空層)
- アルゴンガス層
- クリプトンガス層
これはそれぞれ、熱伝導率が違うため、窓の性能をより高めるにはクリプトンガス充填サッシを選択するのがベストとなりますが、費用対効果で選択するのが良いでしょう。
【参考】
素材 | 熱伝導率 | 断熱性能 |
空気 | 0.024 | 低い |
アルゴンガス | 0.016 | ⇅ |
クリプトンガス | 0.009 | 高い |
スペーサー
最上級の断熱性能・省エネ性能を目指す場合は、中間層やスペーサー等もこだわるといいかもしれませんが、大きく性能差が表れる部分ではありません。
しかし、窓の「結露」を少しでも無くしたいという場合は、スペーサーを樹脂製にすると抑えられる傾向にあります。
ハニカムシェード
ハニカムシェードは、一条工務店が特徴の一つとしてつけている断熱シェードです。
他社でも、オプションにすれば付けることのできる断熱性能を高める設備の一つです。
【参考】
気になるハウスメーカーや工務店が何を使用しているのか?確認し、表に落とし込んで比較しましょう。
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省エネに貢献!換気システムの違いで光熱費に差が出る
換気システムは、省エネ性能で忘れられがちな部分です。
換気をするということは、温めたり冷やしたりした室内の空気を入れ替えることにもつながるため、少なからず影響します。
そのため、換気システムには、熱交換効率(温度交換・湿度交換)が表示されています。
↓チェックする項目↓ | 仕様(参考例:一条工務店) | ||
換気システム | 性能 | 換気の種類 | 第一種換気 |
温度交換効率 | 90% | ||
湿度交換効率 | 夏80%/冬82% | ||
フィルター | 花粉除去率 | 99% | |
PM2.5除去率 | 95% |
換気の種類
換気システムには大きく3つの種類が存在します。
- 第一種換気(機械給気排気)
- 第二種換気(機械給気自然排気)
- 第三種換気(自然吸気機械排気)
換気を正確に行うことや、熱交換をするには、第一種換気システムが適しています。
多くのハウスメーカーでは、第一種もしくは第三種をメインに取り扱っていますが、パナソニックホームズは第二種を採用しています。
温度交換効率
表中に記載した、熱交換効率90%とは、外気温が0℃/室内温が20℃といった場合。
0℃の空気を室内に取り込む際に、90%の熱交換を行い、18℃にできることを指します。
これにより、せっかく暖めた室内が冷えずに済み、暖房効率もよくなる結果を生みます。
ダクト?ダクトレス?
換気システムには、ダクトタイプとダクトレスタイプが存在します。
- ダクトタイプは、換気システムから各部屋へダクトを利用して、空気の入れ替えをします。
- ダクトレスタイプは、各部屋の壁に換気システムを設置し、直接空気の入れ替えをします。
ダクトタイプは、一括集中制御となるので、管理が大変楽になりますが、ダクト内の汚れをどのように回避するかが課題です。
ダクトレスタイプは、各部屋に設置することで、メンテナンスが煩雑になりやすいですが、ダクトが無い分汚れの心配はありません。
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省エネ住宅比較シートダウンロード
ここまで紹介してきた、省エネ住宅比較シートをA4サイズ1枚にPDF化しています。
お好みで印刷なりして、活用ください。
記入参考例として、我が家が建築した「一条工務店」の2019年仕様を参考としています。
省エネ住宅比較シートのダウンロードはこちらから
▶省エネ住宅比較シート◀(PDFファイルです)
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まとめ
省エネ住宅比較シートを利用することで、ご夫婦どちらかが一人で見学に行ったとしても、正確な情報を共有することができるようになります。
何となく展示場に行っても、何を質問したらいいのか?が分からなくなります。そんな時は、「省エネ住宅比較シート」の項目内容を質問してもいいでしょう。
これにより、何社かの情報が集まってくると、それぞれの会社の違いが見えてきます。
ハウスメーカーを絞り込むために、展示場へ行かずとも、一括資料請求を利用することで、各社のカタログから省エネ住宅比較シートを埋めるだけの情報を得ることもできます。
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【資料請求に関する記事】
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