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毎月の住宅ローン、光熱費、修繕費の積み立て、毎年の固定資産税の確保。

住宅を手に入れると、その後にかかる費用はバカになりません。

前回、【ローコスト住宅で後悔しない基礎知識】でも維持費の掛かる保険料を、どうすれば安くできるのかの話をしましたが、今回は、「光熱費」についてです。

 

【ローコスト住宅で後悔しない基礎知識】ローコストでも維持費はハイコスト!?を読んでいない方はこちらからどうぞ。

 

現在の日本に建てられている住宅のほとんどは、省エネ性が不十分な建物ばかりです。

そのため、住んでいる私たちは「節約」という名の「我慢・忍耐」を強いられています。

 

  • 冬場、暖房を切らずに24時間暖かい家が欲しくないですか?
  • 夏場、熱中症の心配がない涼しい家が欲しくないですか?

 

「そんな事したら、冷暖房費がバカ高くなってしまうじゃないか?」

 

そう思いますよね。

 

でも、「冬暖かく」「夏涼しい」そんな家に住みながら、今までの光熱費が半分になる家があるんです。

この住宅を手に入れるには、火災保険・地震保険を安く抑えるためと同じように、住宅選びの最初が肝心なんです。

間違ったハウスメーカーや工務店にはいり、今までの住宅より、ちょっとだけ良くなった家を当たり前のように購入したら失敗します。

 

10年前に購入した住宅を、省エネリフォームという無駄なお金を掛けている家が後を絶ちません。

そうならない様に、最初に知識を備えましょう。

光熱費がかかりにくい住宅の基準を知る

「燃費の良い車はどうやって判断しますか?」

「電気代の掛からない冷蔵庫は何を見ますか?」

 

エコカーや省エネ家電は、世間に認識されています。

出典:トヨタプリウス公式サイト

 

トヨタの誇るプリウスは、ハイブリッド車だったり、日産の誇るリーフは、電気自動車だったりと。

知らない人は少ないでしょう。

1リッターで30㎞走るとか、ガソリンよりも安い電気を満充電にすると300㎞走るとか。

 

省エネ家電も、家電量販店に行けば、年間消費電力を丁寧に提示してくれています。

 

 

「住宅」も車や家電のように省エネ性を判断できる基準があるんです。

 

買ってしまう前に!

ハウスメーカーや工務店を決めてしまう前に!

 

省エネな住宅の基準を知っておきましょう。

住宅の光熱費は省エネルギー基準で判断する

 

じょし

この前、友達の家に遊びに行ったとき、光熱費の話になって、私の家は1.5万円なのに、〇〇ちゃん家は5千円台だっていうの。

しかも、冷暖房はつけっぱなしにしているっていうんだよ。信じられる?

あお

それは、省エネ性=断熱性能が違うからなんだよ。

2018年現在の省エネルギー基準は、平成28年に改正されたものが利用されています。

下記の表が、現行「省エネルギー基準」です。

省エネルギー基準 1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域 8地域
参考地域 旭川 札幌 盛岡 仙台 つくば 東京 鹿児島 沖縄
H28省エネ基準 0.46 0.56 0.75 0.87
あお

僕たちの住む家は、関東だから、表でいう0.87という基準に当てはまるんだ。

じょし

でも、〇〇ちゃん家も関東だから同じでしょ。

あお

同じ関東に住んでいても、建築を依頼する先がどの程度の性能の住宅を作っているか?で変わってくるんだ。

もちろん、自分から数値を高めてほしいと依頼することもできなくはないけど。

あお

〇〇ちゃん家は、UA値が基準の1/3くらい(0.30)なんじゃないかな。

冷暖房費を左右するのは「UA値」

この省エネルギー基準で示している数値は、UA値という断熱性能を表しています。

UA値は、値が小さくなればなるほど断熱性能が良くなります

つまり、光熱費(冷暖房費)がかかりにくくなるということです。

 

例えば、関東で建築するなら、基準のUA値が0.87だから、これをどんどん小さな数値にするように持っていくことができれば、光熱費がかかりにくくなるということ。

ZEHという、エネルギーがかかりにくい住宅の基準値は、関東でUA値=0.6以下を基準としています。

もっとUA値を下げると、さらに光熱費がかかりにくくなります。

「UA値」をよくするにはどうすればいいの?

光熱費を我慢せずに抑えるには「UA値を低くする=断熱性能を高める」ことが必要です。

では、この「UA値」はどうすれば低くなるのでしょうか。

光熱費がかかりにくい住宅の選び方

【UA値を低くする4つ】

  • 住宅の構造を木造にする
  • 断熱材を高性能なものにする
  • 高性能な断熱材を厚く施工する
  • 窓の性能を高め熱の出入りを抑制する

 

これだけではありませんが、この4つを意識すると、だいぶ省エネな住宅になります。

省エネ住宅に適しているのは木造住宅

住宅の光熱費を大きく左右するのが、家の構造に何を使っているかです。

 

料理をするときに使うお鍋やフライパンは、熱が具材に伝わるような素材=鉄でできています。

お鍋やフライパンに使われている素材が、熱が伝わりずらいものならば、調理時間がかかります。

 

家も同じで、鉄骨造の場合、熱を伝えやすい素材となることから、冷暖房が効きづらくなります。

これは、断熱性能をハウスメーカー別にランキングしたときに、明確に表れました。

 

下記表の右側【工法】の部分に注目です。

※スマホで表が見切れる場合は、スライドできます。

【ハウスメーカー別断熱性能ランキング】

ハウスメーカー名 断熱性能UA値 商品 工法
北海道限定 土屋ホーム 0.25以下 ネオレジェンドゼット 木造
1 一条工務店 0.28 i-cube

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i-smart

木造(2×6)
2 クレバリーホーム 0.28 エネリート 木造(軸)
3 アイフルホーム 0.30 セシボ極(きわみ) 木造(軸)
4 一条工務店 0.38 夢の家Ⅳ 木造(軸)
5 ウィザースホーム 0.39 仕様 木造(2×6)
6 住友不動産販売 0.42 仕様 木造(2×6)
7 スウェーデンハウス 0.43 仕様 木質系プレハブ
8 ミサワホーム 0.43 120パネル仕様 木質系パネル
9 三井ホーム 0.43 プレミアムモノコック 2×6
10 住友林業 0.46 仕様 木造(軸)
11 セキスイハイム 0.46 グランツーユー 2×6
12 ヤマダホーム 0.50 仕様 木質系パネル
13 積水ハウス 0.87 仕様 木造・鉄骨
14 ダイワハウス 0.87 仕様 鉄骨
15 へーベルハウス 0.87 仕様 鉄骨
16 パナソニックホームズ 0.87 仕様 鉄骨
17 トヨタホーム 0.87 仕様 鉄骨
18 タマホーム 0.87 仕様 木造(軸)
19 桧家住宅 0.87 仕様 木造(軸)

※公式ホームページ。ニュースリリース等から情報を抜粋しています。

※公式に発表していないハウスメーカーは省エネ基準の0.87を記載しています。

さらに詳しくは、ハウスメーカー別断熱性能ランキングTOP20!木造が上位独占【最新】をご覧ください。

 

ランキング上位12位までは、すべて【木造】がランクインしています。

つまり、光熱費を抑えるためには「木造を選択」するのがベストという結果となります。

 

断熱材は高性能なものを選択する

「UA値を小さな数値にする=断熱性能を高める」には、施工する断熱材そのものの性能をよくすることが必要です。

そこで、どんなものが使われているかというと、一般的な断熱材は「グラスウール」というもの。

ただこのグラスウールと一言で言っても、グレードが存在します。

住宅用グラスウール

  • 10K(0.05W/mK)
  • 16K(0.045W/mK)
  • 24K(0.038W/mK)
  • 36K(0.036W/mK)

高性能グラウスール

  • 16K(0.038W/mK)
  • 24K(0.036W/mK)

吹き込み用グラスウール

  • GW-1(0.052W/mK)
  • GW-2(0.052W/mK)
  • 30K(0.04W/mK)
  • 35K(0.04W/mK)

いろいろとありますが、数値(単位:W/mK)が小さいほうが、高性能となります。

つまり、10kよりは、36kを使用したほうが良いということ。

 

その他、一般的な断熱材には・・・

  • ロックウール
  • セルロースファイバー
  • 羊毛断熱材
  • 硬質ウレタンフォーム
  • ビーズ法ポリスチレンフォーム
  • フェノールフォーム

高性能断熱材では、0.020W/mKというものもあります。

断熱性能だけで言えば、グラスウールの一番いいものより、フェノールフォームの0.020W/mKを採用したほうが良いということ。

 

それぞれに特徴があり、値段もまちまち。

さらに、施工の難易度も変わるため、工法との相性もあります。

 

高性能な断熱材を厚く施工する

いくら高性能な断熱材を使用したとしても、それが薄かったら意味がありません。

しかし、選択する工法によっては、断熱材を施工する厚みに限界があるので、そのあたりも知っておいたほうが良いでしょう。

 

例えば壁に入る断熱材を見ていきます。

日本で一番多い、木造在来工法(軸組み)では、軸となる木の太さが断熱材の厚みと関係してきます。

 

よく使われる柱の太さは・・・

  • 3.5寸(10.5㎝)
  • 4寸(12㎝)

です。

 

柱と柱の間に断熱材を充填する方法を「内断熱」と呼びます。

採用する柱の太さで、断熱材の入る最大値が決定してしまいます。

 

では、ツーバイフォー、ツーバイシックスの場合はどうでしょう。

 

骨格となるツーバイ材の太さは・・・

  • ツーバイフォー(8.9㎝)
  • ツーバイシックス(14㎝)

です。

4寸角の柱よりも、ツーバイシックス材のほうが、厚く施工できるのが分かります。

 

また、外断熱という選択肢もあります。

  • 柱と柱の間に充填するのが「内断熱」
  • 柱の外側に断熱材を張り巡らすのが「外断熱」

 

どちらが良いのか?は、住宅全体の性能が高められる方、というのが答えですが、外断熱は、施工する厚みに限界があります。

ハウスメーカーでは、内外ダブル断熱を採用しているところも存在します。

 

注意したいのが、木材の太さは最大値ということで、必ずしも断熱材が最大値入るとは言えないということです。

施工する会社により、作り方はまちまちなので、12㎝入るところを、10㎝にしたり、電気配線を通すために、断熱材を削ったりもします。

 

どのような施工をするかを確認するのが良いでしょう。

採用する「窓」は高性能なものを選択する

出来上がった住宅で、熱の出入りが一番多い場所が、開口部となる「窓」です。

この窓を制することで、家全体の性能も変わります。

 

窓は、大きく2つに分かれます。

  • 窓枠(サッシ)
  • ガラス面

 

【窓枠(サッシ)】

窓枠は、別名サッシ部ともいわれますが、現在採用できるサッシ枠は4つあります。

  • アルミサッシ
  • アルミ樹脂サッシ
  • 樹脂サッシ
  • 木製サッシ

構造の話でも触れましたが、アルミ(鉄)製のものは、熱を伝えやすい性質を持ち合わせています。

選択するならば、「樹脂サッシ」「木製サッシ」がベストですが、コストバランスをみて採用しましょう。

 

【ガラス面】

ガラス面は、2枚3枚4枚5枚などと、複数のガラスが採用されることが多くなりました。

枚数が増えれば、それだけ外気の影響を受けにくく、室温が安定します。

 

ガラスの間には

  • 空気層(ドライエアー)
  • アルゴンガス
  • クリプトンガス

などの物質がはいり、下に行くほど、断熱性能が高まります。

サッシメーカー窓の商品別断熱性ランキング!ハウスメーカーが採用している窓は?

まとめ

「断熱性能を高める=UA値をよくする」には、以下を選択することになります。

  • 住宅の構造を木造にする
  • 断熱材を高性能なものにする
  • 高性能な断熱材を厚く施工する
  • 窓の性能を高め熱の出入りを抑制する

仕様が決まっているハウスメーカーや工務店では、「断熱材」「窓」を指定することができない場合もあります。

つまり、最初に建築先を決定してしまうと、要望が叶わないということがあるということです。

 

2020年に省エネ基準が義務化される方向性で進んでいましたが、2018年12月に延期の判断が下されました。

しかし、建てる住宅がどのくらいの「省エネ性能」を有しているのかを、設計士に説明する義務が求められることとなります。

住んでから、「光熱費がかかりすぎる」となる前に、チェックしておきましょう。

 

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