新築住宅を購入する方は、保証に関してどういう仕組みになっているか?が気になりませんか。
引き渡しを受けてしまうと、何か欠陥があっても対応してくれないんじゃないか?
と不安になることはありませんか?
そういった不安に対して、国は「住宅品質確保法」(いわゆる品確法)に基づき、10年間の瑕疵担保責任を義務化させています。
しかし、これだけでは消費者保護として不十分になる事態が起こったため、更なる法整備が行われました。
これを【住宅瑕疵担保責任履行法】と言い、契約時に説明を受ける内容の一つです。(説明義務)
この記事では、住宅瑕疵担保責任履行法をできるだけわかりやすく紹介していきます。
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「住宅瑕疵担保履行法」はどうしてできたの?
請負契約の時に、瑕疵担保履行法についてを説明された記憶があるけど、正直どんな内容なのかは、分からなかったね。
そうだね、契約となると間取りのことしか考えていなかったのもあるからね。
住宅の請負契約をすると、契約書に「住宅の瑕疵担保の履行」について説明を受けると思います。
でも、「何のことなのか?がさっぱりだよ。」という人がほとんどで、何となく「10年間は保証されるんでしょ。」という認識なのかと思います。
住宅瑕疵担保履行法が制定された背景を知っておくと、良く理解できるので順を追って解説していきます。
新築住宅には「品確法」で10年間の「瑕疵担保責任」が義務
もとから、10年間っていう瑕疵担保責任は義務付けされていたんだよね。なのになぜ?今更?
そう、平成12年の4月施行で瑕疵担保責任はあったんだけど、それだけだと不都合が出てきたんだよ。
2人が話しているように、平成12年4月施行の「住宅品質確保法」(住宅の品質確保の促進等に関する法律〈平成11年法律第61号〉)に基づき、売主および請負人に対し10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けされています。
しかし、平成17年11月に、姉歯建築の「構造計算書偽造問題」が発覚し、法制度の欠点が浮き彫りになりました。
構造計算書偽装問題
姉歯建築事務所の一級建築士が、マンションの構造計算書を偽装し、建て替えを含む大規模な補修工事が必要となりました。
しかし、瑕疵担保責任を履行する立場のデベロッパーは、建て替えや大規模な補修を行う資力(資金)を持ち合わせておらず、倒産してしまいました。
この問題に国や地方公共団体も一定の資金補助を行いましたが、マンションを購入した人は、既存の住宅ローンに加えて新たな負担を抱える事態に陥りました。
このおかげで、というと語弊があるかもしれないけど、偽装問題のおかげで、それ以降の住宅購入者は安心して家を買うことができるようになったんだね。
※履行とは:約束や契約を実際に行うこと。
品確法で定めた瑕疵担保責任を確実に履行させる方法
なるほど、つまり法律はあるけど、保証するはずの会社が、破産してしまったら、どうにもできないってことね。
そうなんだよ、法律で10年間の瑕疵を担保することになっているけど、意味がなくなっちゃったんだね。
義務化されている、売主や請負人の瑕疵担保責任をいかに実現(履行)するのか?が大きな課題となり、新たな法律が制定されることになりました。
住宅品質確保法で定められた10年間の瑕疵担保責任の履行を実現するために、裏付けとなる資力確保を義務化するあたらな法律として「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律【住宅瑕疵担保履行法】が制定されることに。
ちょっとややこしいけど、法律を守らせるための、法律ってことね。
さらに、「建築確認・検査の厳格化」も行われました。
建築確認・検査の厳格化
建築確認の審査方法及び中間検査、完了検査の検査方法について、指針に基づく厳格な審査、検査の実施
建築確認の審査期間の延長・・・21日→35日へ(最大70日まで延長可)
一定の高さ以上の建築物等の構造計算審査の義務付け(指定機関による)
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・【木造】高さ13m超又は軒の高さ9m超
・【鉄筋コンクリート造】高さ20m超等
3階建て以上の共同住宅について中間検査の義務付け
偽装ができない様に、厳しくしたんだね。
特定住宅瑕疵担保履責任の履行を確実にするために
「法律を守らせるための法律」が特定住宅瑕疵担保履行法っていうのが分かったけど、どういう風に守らせるの?
要は、問題が起きた時に「資力」があるようにしておくことかな。
建設業者および宅地建物取引業者(宅建業者)に対し、10年間の瑕疵担保責任の履行が可能となるような資力の確保を義務付けることになりました。
具体的には、一定の保証金の供託か、保険への加入のいずれかを講じることを義務付けること等を内容とする「特定瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が公布されました。
資力確保の2つの方法〈供託〉と〈保険〉
保険は何となくわかるけど、供託っていうのはなじみがないわね。
供託は供給戸数に応じた保証金を預け入れることなんだよ。
供託か保険をすることで「うちは資力ありますよー」っていう口だけは、できない様になっているんだね。
供託と保険で資力確保
供託とは
過去の供給戸数に応じて算定された金額の現金等を供託所に預けておくもの。いったん供託すると、瑕疵担保責任の期間10年間は基本的に取り戻すことのできない性質を持ちます。
預ける場所は、住宅供給事業者の最寄りの供託所(法務局)です。
住宅購入者等が瑕疵を発見し、補修請求をすれば売主等は補修等を行うことになります。
しかし、売主が倒産などをした場合には補修を行うことができないことがあります。そう言ったときに、住宅購入者等が供託所に対して、還付請求を行うことで、供託金から還付を受けることができるようになる仕組みです。
保険とは
個々の住宅について、保険契約を締結し、瑕疵により損害が発生した場合には保険金が支払われることになります。
保険先は、国土交通省より指定を受けた「住宅瑕疵担保責任保険法人」です。
保険料は、売主等が住宅瑕疵担保責任保険法人に収めるので、住宅購入者は支払いの義務はありません。
2つの資力を確保する方法があるけど、どちらを利用するのか?は、住宅供給業者がきめるから、契約の時にどちらなのか?を教えてくれるはずだね。
資力確保の確認方法は?
でも、供託とか保険とかって、本当に行っているのかを確認する必要があるよね。
「供託しましたよ」「保険に入りましたよ」っていうのも届け出をしなくてはいけないんだ。これをしないと、罰則があるからね。
新築住宅を引き渡す建設業者または宅建業者は、年2回の基準日に供託や保険契約の締結状況を国土交通大臣または都道府県知事に対して報告する義務があります。
届け出を受けて、その内容について確認を行いますが、届け出がなかったり、内容に虚偽がある場合に、新たな契約締結をすると罰則等が科されます。
まとめ
住宅の瑕疵に対して、「住宅品質確保法」の中で、売主および請負人に対して10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。
しかし、売主等が倒産で瑕疵担保責任を履行(実行)できない自体が起こりました。
それでは、住宅購入者等が保護されないことになるので、瑕疵担保責任を履行できるだけの資力を確保するための、「住宅瑕疵担保履行法」が制定されました。
これにより、売主等は供託もしくは保険に加入する方法で、瑕疵担保責任の資力を確保し、倒産等が起きても消費者が保護される仕組みができました。
この記事は、財団法人 住宅保証機構発行のよくわかる新法解説ガイドを参考にしています。
これ以外に、住宅事業者等(ハウスメーカー等)は独自に「保証」を設け、30年保証や60年保証となっているのが現状です。
しかし、瑕疵担保責任の10年を超えると、それ以降の保証は、有償メンテナンス工事を行うことで保証が延長される仕組みが一般的になります。
30年や60年などの数字だけに惑わされず、保証の中身を確認するようにしましょう。
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