完成している建物を購入するのと違って、「注文住宅」を購入する場合は、お金の必要なタイミングが変わってきます。
- 完成している家=売買契約をして全額お金を支払う
- これから建てる家=請負契約をして完成前に複数回にわたりお金を支払う
後者のこれから建てる家=注文住宅になるわけですが、支払いの流れと、融資を受けるタイミングを知っておかないと、家計が火の車となりかねません。
今回は、一つの例をもとに、注文住宅のお金の流れと融資のタイミングについて紹介していきたいと思います。
注文住宅のお金の流れ
注文住宅の場合、完成した建物があるわけではないので、その都度必要資金を建築会社に支払う必要があります。
とはいっても、一つの家を建築するのに、10回や20回に分けて支払うことになると、双方とても面倒なことになってきますし、資金管理もずさんになりがちです。
多くの場合、建築に必要な資金を3回(契約金を含めると4回)に分け支払うのが一般的です。
- 契約金
- 着手金
- 中間金
- 最終金
【契約金】
契約金は、ハウスメーカーや工務店などの、建築依頼先が決まったときに総額の一部として入金する費用です。
100万~200万円、建築会社によっては10%~20%とかに設定しているところもあります。
【着手金】
着手金は、建築に着手する前に約1/3が必要になります。
費用は20%~30%
【中間金】
中間金は、建物上棟時などに約1/3が必要になります。
費用は20%~30%
【最終金】
最終金は、引き渡し前に総額から今までに支払った分を差し引いた約1/3が必要になります。
費用は残金全額
融資実行のタイミングは、金融機関(銀行など)によって変わります。
【参考例】注文住宅お金の流れ
Aさんは、2800万円の住宅を建築しようとしています。
自己資金は500万円、残り2300万円を銀行融資でまかなおうと計画しています。
この場合を、上記のお金の流れに当てはめてみると下記画像のようになります。
- 建築に必要な費用2800万円
- 建物に出せる自己資金500万円
- 融資で借りる費用2300万円
- 契約金 100万円(自己資金)
- 着手金 900万円(自己資金400万/融資金500万)
- 中間金 900万円(融資金)
- 最終金 900万円(融資金)
着手金は400万円分、自己資金から支払い、残り500万円は融資で賄います。
つまり、融資してもらう金額は、500万円+900万円+900万円の合計2300万円。
この融資してもらう、2300万円をどのように借入をするか?によって、
- 選べる住宅ローン商品
- 融資先となる金融機関
- 支払い時期
- 支払い額
などが変わってきます。
下記で詳しく見ていきましょう。
先行融資で未完成のまま支払いスタートする場合
2300万円を先行融資してくれる銀行の場合【1】
- 着手金残金500万円
- 中間金900万円
- 最終金900万円
合計2300万円、以上の額を着手金支払いの時点で融資してもらうことになります。
この場合、融資がされた時点で、支払いもスタートすることとなります。
【メリット】
- 必要な時に融資してもらえる
【デメリット】
- 賃貸などに住んでいる場合、家賃とローンの2重支払いが発生し、貯蓄が無いと家計が苦しくなる
【注意点】
一般的には、銀行に専用口座を作成し、住宅用資金として銀行が管理し、中間金、最終金が必要な時に、建築会社へ支払いを行う手続きを行います。
中には、借入者の口座に一括入金し、管理は個人に任せる銀行もあります。
この場合、自己管理ができないと、家に使うお金を違うことに使ってしまう可能性があります。
先行融資で未完成のまま利息のみ支払う場合
2300万円を先行融資してくれる銀行の場合【2】
- 着手金残金500万円
- 中間金900万円
- 最終金900万円
合計2300万円、以上の額を着手金支払いの時点で融資してもらうことになります。
上記【1】と違い、融資が実行されますが、支払いは「利息」のみとなり、元金の支払い開始は住宅が完成した後からとなります。
【メリット】
- 必要な時に融資してもらえる
- 家賃と住宅ローンの2重支払いを避けられる
【デメリット】
- 利息だけの支払いとはいえ、賃貸住まいの場合、家賃以上の支払いとなる
- 当初元金が減らないことで、月々の支払額が増える
【注意点】
利息だけの支払いができる期間は、短く設定されています。建築会社のスケジュールを把握する必要があります。
融資金は一般的に、銀行に専用口座を作成し、住宅用資金として銀行が管理、「中間金、最終金」が必要な時に、建築会社へ支払いを行う手続きを行うことで出金できるようになります。
一部金融機関では、借入者の口座に一括入金し、管理は個人に任せるところもあります。
完成し入居後に融資され支払いがスタートの場合
2300万円が入居後に融資される場合(フラット35はこれにあたります)
入居後の融資でも、先行融資をしてくれる時と同じように、下記合計2300万円を支払う必要があります。
- 着手金残金500万円
- 中間金900万円
- 最終金900万円
しかし、手元に2300万円の現金はありません。
このような時に使われるのが「つなぎ融資」です。
つなぎ融資は、必要なタイミングで資金を実行することができるので、上記例でいくと・・・
- 着手金残金の500万円をつなぎ融資
- 中間金900万円をつなぎ融資
- 最終金900万円をつなぎ融資
と、各々手続きを踏み融資を受けることとなります。
その後、入居後に2300万円の融資が実行されたときに、つなぎ融資していた金額を返済するようになります。
【メリット】
家賃の支払いがあっても、2重支払いになることはない
【デメリット】
つなぎ融資には利息がつく(住宅ローンより高めの金利設定)
金融機関によっては、つなぎ融資をしていないところもある
【注意点】
つなぎ融資額、つなぎ融資期間が大きく長い場合は、つなぎ融資にかかる金額が増えることになります。
例)――――――
900万円を3%(つなぎ融資金利)で6か月間借りた場合。
135,000円の利息を支払うことになります。
土地を含めた融資となる場合、大きな金額を長い期間つなぐこととなるので注意が必要です。
例)
- 土地金額2000万円を3%(つなぎ融資金利)で1年間
- 建物資金800万円を3%で6ヶ月
- 建物資金800万円を3%で2か月
土地から、つなぎ融資をするとなると、上記のように大きな金額がつなぎ融資対象となります。
すると、例の合計では、76万円のつなぎ融資金利が発生することになります。
まとめ
変動金利、固定期間選択型金利、全期間固定金利などの金利パターンや、借入先金融機関の選択だけではなく、借りようと検討している金融機関では、どのような融資タイミングで、どのような支払いパターンになっているのか?
初めに確認しておく必要があります。
【参考記事】
【住宅ローンの選び方】変動・固定期間選択・全期間固定!みんなはどれを選んでる?
【住宅ローンの返済負担率】年収の何割を返済にあてているの?7割弱が25%以下
個人個人によって、どのパターンが正解なのかは変わります。
自己資金がある場合は、ぎりぎりまで支出せずに、当初ローンの支払いに充てるなど、余裕を持った計画を立てることで安心できます。
大手ハウスメーカーなどでは、関連会社に住宅ローン会社を持っていることもあります。その場合、自社にあった融資スキームを持っていることがほとんどなので、支払いに「やきもき」することは少ないでしょう。