いよいよ消費税の増税が迫ってきました。
そこで、注文住宅を購入する人向けに、増税後に実施される予定となっている優遇政策と契約タイミングをまとめてみました。
- 消費税増税前に購入するのが良いのか?
- 消費税増税後に購入するのが良いのか?
どこのハウスメーカーで建築をするのか?によっても意見が分かれるところかと思います。
消費税が増税されると、住宅市場の景気低迷が考えられるので、政府としてはそうならない様に、住宅購入者に優遇政策を検討しています。
2019年1月現在で、ニュース等に取り上げられている内容から見ていきましょう。
住宅ローン減税が10年から13年に延長される
消費税8%では、住宅ローン減税は10年間受けることができるようになっていますが、消費税10%に増税された場合、3年間延長され合計13年になる方向で検討されています。
【住宅ローン減税の基本内容】
住宅ローン減税は、住宅を取得してから6ヶ月以内に入居し、その後も引き続き住み続けることで、入居した年から10年間、住宅ローン年末残高の1%相当額が所得税(引ききれない場合翌年の住民税から)から控除される仕組みです。(初年度確定申告が必要)
- 一般住宅は最大400万円
- 長期優良住宅は最大500万円
【住宅ローン減税の注意点】
住宅ローン減税は、入居が起点となるため、フラット35(住宅金融支援機構の住宅ローン)のように入居してから、住宅ローンの金消契約を行うような場合、1年住宅ローン減税が受けられなくなる時がでてくるので注意が必要です。
- 年内入居、年明け金消契約の場合は要注意
以上のような基本を踏まえた上で、3年延長された場合を見ていきましょう。
住宅ローン減税13年を受ける条件
消費税10%になると、住宅ローン減税が3年延びるわけですが、条件があります。
- 消費税10%の契約
- 2019年10月1日から2020年末までに入居する住宅
消費税10%の契約とは、2019年4月1日以降の契約で、引き渡しが2019年10月1日以降の方です。
延長された3年間の減税内容は
延長される3年間の減税はどのくらい戻ってくるのでしょうか。
発表されている内容から見ていきたいと思います。
最初の10年間の住宅ローンについては、今までと同様(年末残高の1%)の内容となりますが、3年延長分に関しては2つの案のうち、どちらか少ないほうとなります。
- 建物価格の2%を3等分した額
- 10年目までの仕組みと同じ方法で計算した額
消費税アップ分となる2%を3年で割った額もしくは、今まで通りの年末残高の1%どちらか少ない方が減税の上限に設定されるようになります。
建物価格、住宅ローン金利別に、詳しく計算した目安表を作成しました。
【住宅ローン減税・計算】減税額が一目でわかる!控除額目安表とシミュレーションをご覧ください。
住宅ローン減税は基本的に「所得税からの還付」、ふるさと納税は基本的に「住民税からの減税」となるため、影響は少ないと理解したほうが良いでしょう。
【ためになる参考記事】
余談ですが、住宅ローン減税とふるさと納税については、【ふるさと納税の基礎】住宅ローン控除や医療費控除を併用して受けることはできるの?(年収別簡易表付)にて紹介しています。
すまい給付金がもらえる幅が拡張される
すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担をかなりの程度緩和するために創設した制度です。住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなります。すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。このため、収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。
消費税が10%に増税されると
消費税が8%の場合、収入の上限が510万円以下の人が対象となっていました、これが10%となった場合は収入の上限が775万円以下の人まで拡大されることとなり、給付基礎額も上がります。(決定済み内容)
消費税8% | 消費税10% | ||
給付基礎額 | 収入目安 | 給付基礎額 | 収入目安 |
30万円 | 425万円以下 | 50万円 | 450万円以下 |
20万円 | 475万円以下 | 40万円 | 525万円以下 |
10万円 | 510万円以下 | 30万円 | 600万円以下 |
20万円 | 675万円以下 | ||
10万円 | 775万円以下 |
もらえる給付基礎額は、都道府県民税の所得割額から決定されます。つまり、上記収入目安に当てはまらない人でも、所得割額によっては、給付対象となる可能性があります。
くわしくは、すまい給付金公式のシミュレーションを行ってください。
共有名義のすまい給付金は
夫婦2人名義の場合、収入と持ち分割合によって計算されます。
【例】
夫年収700万円、妻年収550万円、持ち分それぞれ50%という場合
夫 | 妻 | |
年収 | 700万円 | 550万円 |
持ち分 | 50% | 50% |
給付基礎額 | 10万円 | 20万円 |
給付額 | 5万円 | 10万円 |
このご夫婦が給付される額は、合計15万円という結果になります。
次世代住宅ポイント制度が復活する
以前住宅支援優遇策として有効だった、住宅ポイント制度が復活します。
名前は「次世代住宅ポイント制度」
次世代というくらいですから、それなりの住宅性能を備えた住宅に対して、ポイントを発行して、あらゆるものをそのポイントで購入することができるようにする政策です。
住宅購入時には、電化製品など付属で必要なものが出てきます。
そういったものを購入するのに使えるので、見逃せない制度です。
次世代住宅ポイントをもらうためには
先述したように、ある程度の性能(一定の性能)を備えた住宅が対象となります。
その対象とは?
【新築住宅に求められる一定の性能】
- 「エコ住宅=省エネ性能の高い住宅」
- 「長持ち住宅=耐久性の高い住宅」
- 「耐震住宅=耐震性能の高い住宅」
- 「バリアフリー住宅=バリアフリー性能の高い住宅」
次世代住宅ポイントはいくらもらえるの?
上記の、いずれかに適合する場合は1戸あたり30万ポイント。
より高い性能を有する場合は、最大35万ポイントまで加算されます。
次世代住宅ポイント対象者や期間
- 【消費税10%で契約をする人が対象】
- 【消費税増税後19年度末までの契約が対象】
【参考関連記事】
【次世代住宅ポイント制度】2019年消費税増税に合わせ新築上限35万ポイントで予算盛込
消費税増税前に注文住宅を購入するタイミングは
普段、私たちが購入している食品類などは、2019年10月1日から消費税が10%課税です。
では、注文住宅でも消費税8%で購入するには2019年9月30日までに契約をすればいいのでしょうか?
注文住宅を消費税増税前に購入をするには、2つのタイミングを知っていなければいけません。
消費税8%で購入する契約と引き渡しのタイミング
普段の買い物と違い、注文住宅を消費税8%で購入するには、6ヶ月前の「2019年3月31日」までに契約をしなくてはいけません。
消費税8%で引き渡しを受けるには、通常通りの「2019年9月30日」までに引き渡しを受ける必要があります。
しかし、前述したように6カ月前の「3月31日」までに契約を澄ましている場合は、引き渡しが「9月30日」を過ぎたとしても、消費税は8%のままとなります。
逆に、「4月1日」以降に契約をしても、引き渡しが消費税増税期限となる「9月30日」までに行われない場合は、消費税10%が適用されることとなります。
ちょっとややこしいですが、確実に消費税8%に抑えたい場合は、2019年3月31日までに、契約を済ましておくことが必要になります。
注文住宅の契約時の消費税の注意点
消費税が8%の時点で注文住宅を契約することに成功したとします。(2019年3月31日までに契約)
しかし、注文住宅というものは契約してから詳細を詰めて、最終的に変更契約を締結します。
よく聞くのが、「契約後に見積もり額がどんどん上がってしまった。」という悩みです。
これは意図的にハウスメーカー側が客単価を上げようとしているだけではなく、契約後に詳細を詰めていったら、つけたい欲しい設備が増えたり、間取りが変更になったりとすることも要因として出てきます。
これが消費税と何か関係があるのか?
というと、先ほど話した最終的な「変更契約」に関係します。
変更契約が、消費税増税タイミング期限となる2019年9日30日をまたいだ場合、変更金額に対しては10%が適用されることとなります。
つまり…
2000万円で消費税8%契約(2019年3月31日までの契約)
詳細を煮詰め、最終的に2500万円と契約時より500万円増額となる。
差額の500万円の変更契約が増税後となる場合、500万円に10%の消費税がかかる。
このような状態になります。
増税前に契約したから安心だと、気を抜かない様にしましょう。
まとめ
住宅購入は人生の中で大きな買い物となります。
今回紹介した制度を理解して、損のない買い物をしてください。